ふるふる図書館


第一部

座談会(一)



知世 このたびは読んでくださり、まことにありがとうございます。ここでは、出演者による座談会をひらきます。まずはみなさん、出演お疲れさま。
季耶 お疲れさまでした。
  お茶とお茶うけは、もちろん用意されているんだろうな。
季耶 ご安心を。桜茶と桜もちの差し入れが、作者から届いていますよ。ほい、どうぞ。
  時間外労働に、これくらいの報酬はあって当然だな。作者ときたら、ストーリーすらほとんど考えていないし。おれたちを動きまわらせてるだけだし。この話がおもしろくなかったら、それはおれたちではなく、ひとえに作者の技量のなさに責任があるよな。
知世 そんなこと言って。作中で、あんなにいろいろおやつを食べさせてもらったくせに。
  経費は、一円ももらっていない。
季耶 作者に、何か怨恨でもあるんでしょうかね、師匠は。とんでもない設定をされてしまったとか。
知世 そのあたりは、おれたちは知ることができないことになっているからねえ。
  何をひそひそ話しているんだ。
知世 別に。それはそうと、お前の自腹のおやつ代は、どこから出ているのさ。おこづかいが足りなくならない? きゅうきゅうとしているようには見えないけど。
  説明は、のちのち作中でなされる予定。
知世 もうこの話は終わったんだろう? まだつづくの?
  さあね。書ききれなかったエピソードはいろいろあるらしい。
知世 おれの両親といとこも、ほとんど登場しなかったなあ。まだ、演劇同好会の行方も書かれていないしね。中途半端な終わり方。だいじょうぶかなあ。
季耶 続編が出たら、タイトルも変えるのかな。春で「桜少年」だったけど、梅雨だったら「あじさい少年」とか、夏だったら「ひまわり少年」とか。
瑞樹 いまいち……。
知世 タイトルは、いったいどこからつけたんだろ。
季耶 第一話から第九話までのサブタイトルは、有名な戯曲や小説や映画の題名を拝借しているんですよね。
  怠け者の身のほど知らずが。
知世 苦情がこないといいけど。
  名作の題名を借りるくらいのセンスしかないわけだ。
季耶 「総天然色桜少年」は自分で考えたらしいですよ。さんざん悩んで、作品が出来あがったあとにようやく思いついたとか。
  誰が主人公か、特定しないような題名にしたと聞いているが。
知世 えっ。おれが主人公だと思っていたけど。違うの?
季耶 この手の話には、ありがちなことですよ。おれのことは、途中から思いつきで登場させたくらいですしね。
  やはり計画性ゼロだな。行き当たりばったりか。
季耶 そもそも、手持ちぶさたになったとき、ストレス解消のために書きはじめた小説だそうですから。あれ、どうかしたんですか、森川先輩。さっきから黙りこくっちゃって。
知世 うう、おれみたいに平凡な人間は、主人公になれないってことかなあ。
季耶 春日師匠を怖がらないというのは、十分非凡な証拠ですよ。
知世 滝沢君も、瑞樹君も、入江君も、みんな平気そうだけど……。
  お前たちって、まったく奇人だな。
知世 この先、もっといろいろなひとが登場しそうだよね。あくまでも、もし次回があるとしたら、の話だけれど。
季耶 それは、作者のみぞ知るってことで。
  何しろ、行き当たりばったりだから。
知世 と、こんな状況ですが。「あじさい少年」(仮)、どうぞよろしくお願いします。
季耶 読んでねー。
  We’ll be back !
瑞樹 (無言で手を振る)

20040621
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