おまけ
いよいよ漫才に挑戦してみる (二)
※リクエスト企画。内輪話でも大丈夫なかた推奨
知世 はいみなさんこんにちは!
玲 はいはいこんにちはー。
知世 いやあ、お正月も終わりですねえ。そろそろ学校や会社がはじまります。
玲 そうですね。
知世 冬休みの宿題でいちばん苦手だったのが書初め。
玲 ほう。
知世 自宅の廊下に紙を広げて、墨をすって。孤独だったな。寒かったな。元日になると思い出すなあ。
玲 なぜ廊下で?
知世 ほかに場所がなかったんだ。
玲 元日にやっていたのか?
知世 書初めだもの。
玲 あほうだな。さっさとすませておけばいいのに。
知世 これはね、儀式なの!
玲 ちらしの裏にえんぴつで落書きしても、書初めには変わりないじゃないか。わざわざそんな苦行することないだろう。
知世 というか、これは漫才なの! なんでいつもの調子になっちゃうのさ。おれが話の進行とつっこみ役で、お前がぼけ役って決めただろ。
玲 お前につっこみ入れられるほど、おれは堕ちてない。
知世 堕ちる堕ちないの問題じゃないけどさ。わかったよ、じゃあ交替。さっきのおれみたいに挨拶からだぞ。
(仕切りなおし)
玲 あー。こんにちは(ローテンション)。
知世 はいっ。こんにちは!
玲 正月明けだな。
知世 そうですね。
玲 さっさと仕事しろよな。
知世 ちがーう!
玲 何が「違う」だ。「そうですね」だろう。
知世 そうじゃなくてっ。「仕事しろよ」なんて言いかたするなよ。話が盛り上がらないじゃないか!
玲 面倒だな。
知世 ああもう。滝沢君たちはできていたのに。
玲 一卵性双生児と同列に扱うな、おれたちを。
知世 やる気の問題だ。おれたちの息の合わなさは今にはじまったことじゃないしさ、だいたい、息を合わせるつもりもないだろお前。まあいい、最初からやりなおそう。
(再び仕切りなおし)
知世 はいっ、みなさんこんにちは!
玲 はいはいこんにちはー(やっぱりローテンション)。
知世 いやあ、お正月も終わりですね。
玲 そうですね。
知世 そろそろ学校や会社がはじまりますね。
玲 そうですね。
知世 冬休みの宿題で、苦手だったのが書初めでした。
玲 そうですね。
知世 さっきから同じことしか言うてないやろ! お前は「笑っていいとも!」の観客か!(すぱーん)
玲 いったいどこからハリセンが。
知世 こうなったら意地でもつっこみ入れてやる。ええと、何の話だっけ。そう、書初め。あれはなかなか大変な宿題だったと思いませんか?
玲 別に。
知世 居間は狭くて、家族みんながこたつに入ってテレビを見て楽しんでるのを横目に見ながら、ひとり寒い廊下で習字ですよ。どうなのこれ。
玲 別に。
知世 「別に、別に」って、お前はエリカさまか!(すぱーん)
玲 春日玲さまだ。前からそう言っている。そんな攻撃まるで効かんぞ。
知世 攻撃じゃなくて、つっこみだってば! おとなげないな、このお子さま! 俺さま!(すぱーん)
玲 ほほう、つっこみという大義名分のもとに、好き放題してくれるじゃないか。
知世 (ひそかにぎくり)
玲 やられたらやりかえすのがおれの流儀だ。報復を楽しみにしておくんだな。
知世 うわーん。こいつと漫才なんて無理! 助けて! ギブアップ!