ふるふる図書館


おまけ

漫才までの道のり



※リクエスト企画。内輪話でも大丈夫なかた推奨


知世 さて。ご要望におこたえして、おれたちが漫才をやることになりました。
  がんばれよ。
知世 えっ、おれたちがやるんだってば。
  知ってるよ、お前たちがやるんだろ。
知世 生まれついての大天才春日玲さまには「不可能」の三文字はないと思っていたのになあ。
  その手は桑名の焼きはまぐり。
知世 おだて作戦失敗。
  おだてじゃなくて事実だからな。何のポイント稼ぎにもならん。それにだ、お前がぼけ、おれがつっこみだったらそのまんますぎてつまらないだろうが。
知世 裁判長、異議あり! 非常識なお前に、おれがいつもつっこんでるんじゃないか!
  異議は認めん。もっとも、お前の話のペースじゃテンポが悪い。
知世 それはがんばる!
  お前は漫才に詳しいのか? コンビ名は?
知世 うーん。そうだなあ。「桜少年」だけにチェリーボーイズとかでいいんじゃない?
  英和辞典ひいてみろ、その単語。
知世 どれどれ。ぱらぱら。……うぎゃああ! うわー。うわー。
  字幕翻訳でおなじみトダナツコさんが、すてきにいかした日本語をあてはめて名高いあの単語だからな。
知世 どういう名高さだよ!
  ナイスつっこみ。というより、日常会話がすでに漫才じゃないか。
知世 やかましわ!
  どうもありがとうございましたー。
知世 おーいここでしめるな! これ漫才じゃないってば!


季耶 何つくってるんですか、先輩。
知世 ハリセン。
季耶 どど、どつき漫才始動ですかっ?
知世 やっぱりね、漫才には売りポイントが必要じゃないかと。チャンバラトリオのハリセンとか。やすしきよしのやっさんの「めがね、めがね」とか。でも、文字だけの世界って、ギャグはむずかしいよなあ。
季耶 最近の漫才は研究対象に入っていないんですか……。
知世 だっておれたち、前世紀の高校生だもん。
季耶 そうでした。
知世 さてと、完成したよ、ハリセン。
季耶 いよいよ本格的ですね。体はるなあ。そうか、先輩は毎度、春日師匠にどつかれてますからね! あっ、もしやそちらの気があったんですか? 師匠のおかげで開花しちゃったんですか? さてはお婿に行く前に傷ものにされちゃったんですか?
知世 いいかげんにしなさい! (すぱーん)
季耶 非のうちどころのない会心のクリーンヒット。やられたなり……。(ばたり)
瑞樹 あるんですか、その「け」?
知世 ありません。むしろ、いじめるほうが快感だったりして。うふふふふ。
季耶 ええ、みごとな一撃でしたよ……。げほごほ。
知世 おやおや、あれだけの攻撃でまだ立ち上がれるとはあっぱれだね、季耶君。ふふふ。そう、おれはこのハリセンをたずさえて、(お笑いの)世界に君臨するんだ。いつかみんながこのおれの前にひれ伏し、ひざまずくのだっ! (かんらかんらと高笑い。悪役を演じる我が身に酔いしれる)
瑞樹 あくまだ……。
  とうとう本性があらわになったな。偶然生み出された魔のハリセンが、ひとりの平凡な高校生を狂わせ、堕落させることになろうとは。
知世 何だよ何だよ。ちょっと言ってみただけじゃないか。ゆかいなおちゃめさんを演じてみたかっただけだい。ぐすん。いじけてやるう。(しゃがんで指で地面に「の」の字を書く)

20050523
PREV

↑ PAGE TOP