ふるふる図書館


第三部

座談会(三)



知世 とうとう三作めになりました。ひきつづき読んでくださいまして、どうもありがとうございます。
  前回、「次は夏」って言ってなかったか。
知世 夏になって演劇発表会がすんだら、おれは役割なくなっちゃうもの。
瑞樹 おなじく。
季耶 よくここまでつづきましたね。もともとは、一作めの第五話で終わりだったそうですよ。つまり、おれがはじめて登場した回ですけど。
  長くつづける気がなかったから、近ごろマンネリしてるのか。お前がキャラを変えていれば、新展開になったのに。
知世 ひとのせいにする気かよ。
季耶 今回も、お約束がありましたね。
知世 どんな?
季耶 三作つうじてありますよ。師匠と先輩がいちゃいちゃしている場面。
知世 してなーいっ! 春日が迫り倒そうとしているだけだ。お前、いたいけな青少年をもてあそぶな。この変態。
  自分と似ている伯母に恋慕しているやつに言われたくないな。
知世 うわーん。
季耶 よしよし。
  ほほう図星か(にやり)。
季耶 まあまあ。とにもかくにも、次第にアブノーマルな内容になってきましたねえ。
知世 今三人でいっせいにおれを見なかった?
季耶 気のせい気のせい。学校の話も多かったなあ。前の座談会でおれたちに言われたこと、気にしてるんでしょうか。
知世 学生は親しみがわくのかなあ。
  学生は読まないだろ。読んだら正しいおとなになれないぞ。
季耶 師匠が言うと、重みがあるなあ。
  何か?
季耶 いえ別に。
知世 登場人物ばかり増えに増えて、だいじょうぶなのかしらん。
季耶 まあ、初期メンバーたるわれわれ四人は、不動の地位ですよ。
陽耶 ずいぶんな余裕だな。いつこの座談会をのっとられてもおかしくないんだぞ。寝首をかかれないようにするんだな。
知世 ああ陽耶君、差し入れ持ってきてくれたんだ。ありがとう。
季耶 はいはい、用がすんだら帰った帰った。
陽耶 なにをう。おれを登場させて、新風を吹きこむという意図がわからんのか。
知世 ううん。しゃべってるのが兄弟のどちらなのか、わからなくなってくる。
  読者にはわかるぞ。
知世 たしかに、陽耶君が季耶君になりすましてここにいても、わからないかも。
季耶 そ、そんなあ。ひどいなり。
  某落語番組のレギュラーと、ざぶとん運びみたいな争奪戦だな。
季耶 桜花に入らなかった時点で、陽耶のポジションは確定したんだ。タイトルを見ろ、桜だろ。お前の高校は若葉だろ。残念だったな、いくらお前が個性的でも、主役をひきたたせる材料にすぎないんだよ。
  いやそこまで計算されていないって。後先考えずに話を作っているのがみえみえじゃないか。
知世 えっ、どこどこ?
  言わぬが花。そういやお前、今回の話で、だいぶ人気が下降するんじゃないか?
知世 がーん。そもそも、おれみたいな男子高校生って実在するのかなあ?
季耶 それを言うなら、桜花高校自体、「そんな男子校があるかい」っていう世界だと思う。
知世 リアリティを求めるかたにはおすすめできない話となっております。こういった世界観が苦手だ、生理的にうけつけないというみなさまは、ご注意ください。
  今さら遅い。
季耶 ひとまず結論が出たので、おひらきですね。
瑞樹 ではまた。
知世 次回作でお会いしましょう。
  次回作があればな。
季耶 次回作が出ても、お前の出番はここにはないぞ。
陽耶 うわーん。お慈悲をー。

20040621
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